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2024/09/10 2024/10/17

不動産の開業資金の目安や内訳が丸わかり!節約方法も解説!

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不動産の開業資金の目安や内訳が丸わかり!節約方法も解説!

不動産屋を開業するにあたって「開業資金って、何がどれくらい必要なんだろう?」と疑問に思っているのではないでしょうか。

不動産屋を開業するには、最低でも数百万円の資金が必要になります。また状況によって開業資金が増減するため、事前に「何に対して、どれくらい必要なのか?」を把握しておくことが大切です。

今回は不動産屋の開業に必要な資金の内訳や目安、開業資金を抑えるべき理由、開業資金を抑えるための節約方法まで紹介します。不動産屋の開業資金や開業時の金銭的リスクが抑えられるため、ぜひ参考にしてみてください。

不動産の開業資金は約400~500万円が目安

不動産の開業資金は約400~500万円が目安

不動産屋の開業資金は、一般的に約400〜500万円といわれています。ただし状況によって、開業資金が変動することを覚えておきましょう。たとえば自宅で不動産屋を開業する場合よりも、テナントを借りて開業する場合の方が、事務所の開設費用が高くなります。

また開業時に必要な資金だけではなく、開業後に必要な資金も把握しておくと安心だといえます。そのため「何に対して、どれくらい必要なのか?」を把握し、事前に具体的な資金計画を立てることが大切です。

不動産開業時の資金と内訳

不動産開業時の資金と内訳

不動産開業時に必要な資金の目安と内訳は、以下のとおりです。

  • 法人設立費:6万~24万2,000円
  • 事務所開設費:0~400万円
  • 宅地建物取引業の申請手数料:3万3,000~9万円
  • 宅建or不動産・保証協会の入会金:100~170万円
  • 営業保証金:1,000万円~(保証協会に加入しない場合に必要)

それぞれの資金と内訳について具体的に解説していくので、ぜひ不動産屋を開業する際は参考にしてみてください。

法人設立費

会社を設立する際に必要な法人設立費は、6万〜24万2,000円(自分で行う場合)です。合同会社を設立する場合は最大10万円、株式会社を設立する場合は最大で24万2,000円となっています。各会社の内訳は以下のとおりです。

会社形態

内訳と費用

ポイント

株式会社

  • 設立時の登録免許税:15万円
  • 定款に貼る収入印紙代:4万円
  • 定款の認証手数料:3万~5万円
  • 定款の謄本手数料:2千円
  • 電子定款の場合は収入印紙代が不要
  • 登録免許税は「資本金 × 0.7」の金額と15万円で、どちらか多い方が適用される

合同会社

  • 設立時の登録免許税:6万円
  • 定款に貼る収入印紙代:4万円

電子定款の場合は収入印紙代が不要

高額商品を扱う不動産屋の事業形態は、個人事業主ではなく信用度の高い法人の設立がオススメです。個人事業主としてスタートする場合は、法人成り(個人→法人)することを視野に入れておくと良いでしょう。

事務所開設費

不動産屋を開業するために必要な事務所開設費の目安は、0~400万円です。事務所開設費は、自宅で開業するのか、テナントを借りて開業するのかで大きく異なります。事務所としての要件や備品が整っている自宅で開業する場合は、開設費はほとんど必要ないでしょう。

一方でレンタルオフィスやテナントを利用する場合は、以下の事務所開設費が発生します。

  • 物件取得費用:賃料、敷金、礼金、内装工事など
  • 設備機器費用:固定電話機、コピー機、デスクなど
  • 通信費:電話、インターネット開設など

事務所開設費の注意点は、事務所を開設するエリアや内装・設備へのこだわりによって大きく変動することです。事前に決めた予算内で、事務所を開設するように意識してみてください。

宅地建物取引業の申請手数料

宅建業を行う際に必要な宅地建物取引業の申請手数料は、3.3万〜9万円です。以下の免許の種類によって費用が異なります。

  • 都道府県知事免許(1つの都道府県で事務所を開設する場合):3万3,000円
  • 国土交通大臣免許(2つ以上の都道府県で事務所を開設する場合):9万円

国土交通大臣免許は2つ以上の都道府県で事務所を開設できるため、都道府県知事免許よりも申請手数料が5万7,000円高くなっています。申請手数料の違いを考慮したうえで、どちらの免許を取得するかを選択しましょう

宅建or不動産・保証協会の費用

宅建or不動産・保証協会へ加入する費用の目安は、100~170万円です。これらの協会は加入が必須ではないものの、加入することで経営面や資金面などのサポートが受けられます。費用の内訳は各協会の入会金や年会費・保証協会に納付する「弁済業務保証金分担金(本店60万円・1支店につき30万円)」です。

入会金や年会費に関しては、加入する協会「全国宅地建物取引業保証協会(全宅)・不動産保証協会(全日)」や加入月、エリアによって異なるため注意しましょう。たとえば東京都で全宅または全日に加入する場合の入会金は、以下のとおりです。

  • 全日の入会金:合計で約100万円(割引あり)
  • 全宅の入会金:合計で約130万円(割引あり)

なお保証協会に加入する際は、母体の団体である「全国宅地建物取引協会連合会(全宅)」または「全日本不動産協会(全日)」への加入も必要です。合計の費用には、これらの団体に加入する入会金や年会費も含まれています。

営業保証金

金銭トラブルが発生した時の保険である営業保証金は、本店1,000万円・1支店につき500万円が必要です。不動産屋のトラブルによって顧客への支払いができなくなった場合、営業保証金を供託していれば供託している金額の範囲内で弁済できます。

このように重要な役割を持つ営業保証金は、不動産屋を開業する際に最低でも1,000万円が必要です。営業保証金の1,000万円や500万円という費用は、開業時に大きな負担になってしまうでしょう。ただし保証協会に加入することで、営業保証金を大幅に免除(本店60万円・1支店につき30万円)できます

営業保証金が免除されるといっても、保証内容に対して不安になる必要はありません。保証協会に加入することで、営業保証金を供託した時と同様に本店1,000万円・1支店につき500万円までの弁済ができます。

不動産開業後の資金と内訳

不動産開業後の資金と内訳

不動産開業後に必要な資金の目安と内訳は、以下のとおりです。

  • 広告費:無料~数百万円
  • 人件費:20万~
  • 当面の運転資金:60万~200万円
  • 面の生活費:100~200万円
  • その他諸経費:20万~150万円

不動産屋の開業後にも、さまざまな資金がかかります。それぞれの金額や内訳を紹介するので、不動産屋の開業後に必要な資金の参考にしてみてください。

広告費

不動産屋を開業して集客するための広告費の目安は、無料〜数百万円です。広告費は集客方法によって、以下のように大きく変動します。

集客方法

広告費の目安

SNS(X・YouTube・TikTok・Instagramなど)

無料(広告を出さない場合)

Googleビジネスプロフィール

無料

自社サイト

数千円~

ポータルサイト

数万円~

ポスティング

数万円~数十万円

折込チラシ

数万~数百万円

リスティング広告

数万円~数百万円

広告費をかけずに集客したいのであれば、SNSやGoogleビジネスプロフィールなどを活用してみましょう。ただし無料で行える集客方法は、効果が出るまでに時間がかかったり、高い集客効果が得られなかったりします。そのため無料・有料の集客方法をバランス良く組み合わせて、総合的に集客することが大切です。

人件費

従業員を雇って開業する場合に必要な人件費の目安は、月給20万円〜です。自らが宅建士かつ一人で不動産屋を始める場合は、自分の給料だけで済みます。しかし自らが宅建士ではない場合、事務所の5人に1人は宅建士が必要になるため、雇うための人件費が必要です。

  • 給与:月給20万円~
  • 資格手当:5,000円~3万円ほど

また宅建士以外に事務員も雇うことになれば、さらに人件費がかかります。そのほかにも、ボーナスや交通費などの費用が必要になることを覚えておきましょう。

当面の運転資金

不動産屋を開業した後の運転資金(ランニングコスト)の目安は、3か月で60万〜200万円です。運転資金には、主に以下の費用が含まれています。

  • 賃料
  • 通信費
  • 光熱費
  • リース料
  • 交通費 など

運転資金は開業するエリアや事務所の規模によって変動するため、事前に各費用を把握しておくことが大切です。また開業当初は売上が少なく運転資金に余裕がないため、少しでもランニングコストを抑えるようにしましょう。

当面の生活費

開業後の利益が発生するまでの生活費の目安は、ある程度の顧客を確保していなければ100万〜200万円です。不動産屋を開業しても、すぐに顧客が探せるわけでも利益が発生するわけでもありません。半年~1年(月20万円を想定)くらい利益が出ないことを想定して、当面の生活費を用意しておくと安心です。

不動産屋の開業前から豊富な人脈があり、ある程度の顧客と利益が見込める状態であれば、生活費を抑えられます。当面の生活費に余裕が生まれれば、開業後であっても経営に集中できるでしょう。

その他諸経費

今まで紹介してきた費用以外に必要な諸経費の目安は、20万〜150万円です。その他諸経費には移動に使用する車両購入費や、各種手続きを代行してくれる専門家への委託費用などがあります。

とくに車両購入費に関しては、購入する車両によって大きく変動するため注意が必要です。車両の用途は社用車として自分が使用したり、顧客を乗せて物件に案内したりします。車両の状態や予算を考慮しながら、車両購入費が多くなり過ぎないようにしましょう。

不動産の開業資金を抑えるべき理由

不動産の開業資金を抑えるべき理由

不動産屋の開業資金を抑えるべき理由は「金銭的リスクを軽減するため」です。不動産屋として経営を軌道に乗せるためには、ある程度の時間が必要になります。売上の見通しが立たないまま時間だけが過ぎていけば、運転資金や生活費などの負担が大きくなるでしょう。

開業資金を抑えないまま事業を始めると、いざという時の貯蓄が少なくなったり借入金の返済額が多くなったりします。不動産屋の開業資金を抑えてスモールスタート(予算を抑えて小さく始めること)できれば、金銭的リスクが軽減され安定した経営が行いやすくなるでしょう。

不動産の開業資金を抑える6つの節約方法

不動産の開業資金を抑える6つの節約方法

不動産屋の開業資金を抑えるための節約方法は、主に以下の6つがあります。

  • 保証協会に加入する
  • 自宅やレンタルオフィスを事務所にする
  • 事務所の備品は中古品で揃える
  • 補助金や助成金を活用する
  • 宅地建物取引士の資格を取得する
  • カーシェアリングを活用する

それぞれの節約方法を解説するので、ぜひ不動産屋を開業する際は実践してみてください。

保証協会に加入する

保証協会に加入することで、多額の開業資金を節約できます。不動産屋を開業する際は営業保証金の供託か、弁済業務保証金分担金の納付をしなければいけません。営業保証金を供託する場合は本店1,000万円・支店500万円が必要です。ただし保証協会に加入することで、営業保証金が免除されます。

保証協会に加入する際の弁済業務保証金分担金は、本店60万円・支店30万円です。保証協会に加入することで、本店940万円・支店470万円もの開業資金を節約できます。また経営面のサポートや各種研修なども受けられるため、保証協会への加入を検討しましょう。

自宅やレンタルオフィスを事務所にする

自宅やレンタルオフィスを事務所にすることでも、開業資金を節約できます。テナントを事務所として利用する場合は、小規模な事務所であっても数十万円(賃料や仲介手数料など)は必要になるでしょう。またテナントの内装工事をする場合は、内装箇所や規模によっては数百〜数千万円単位で開業資金が高くなります。

一方で事務所としての環境が整っている自宅やレンタルオフィスを活用すれば、テナントよりも安く開業できるでしょう。自宅を事務所として活用する場合は、事務所の要件を満たしていたり設備が整っていたりすれば、最小限の費用で開業することが可能です。

レンタルオフィスの場合は、オフィス家具やインターネットなどの利用料だけではなく、原状回復費用が原則として無料の物件もあります。総合的に見れば自宅やレンタルオフィスの方が、安く開業できるでしょう。テナントにこだわる理由がなければ、自宅やレンタルオフィスの利用を検討してみてください。

事務所の備品は中古品で揃える

開業資金を節約する有効な方法は、価格が高めな備品を中古品で揃えることです。事務所の中でも価格が高めな備品には、デスクやチェアなどのオフィス家具や電話機やプリンターなどの事務機器があります。たとえば新品で購入すると約15万円の高級チェアであっても、中古品であれば半額以下の約5万円で購入できる可能性があるでしょう。

オフィス家具や事務機器などを中古品で揃えられれば、規模によっては数十~数百万円の節約に繋がります。ただし中古品は状態によって価格が異なるため、予算内で収まるように調整しながら購入を検討してみてください。

補助金や助成金を活用する

不動産屋を開業する際は、補助金や助成金を活用することで開業資金を節約できます。たとえば「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者が活用できる補助金です。ITに関する補助が受けられ、プロセス数により5万〜450万円までの補助が受けられます。補助対象となるのはソフトウェア購入費やクラウド利用料(2年分)などです。

また「小規模事業者持続化補助金(一般型)」も活用できます。補助対象はウェブサイトの構築や運用などに関わる費用や、販路開拓のための旅費などです。20人以下の小規模事業者を対象に、50〜200万円までの補助が受けられます。

キャリアアップ助成金」も覚えておきましょう。非正規雇用者の正社員化や処遇改善を行った事業者に対して、労働者のキャリアアップを促進する目的で、3.3〜120万円まで補助してくれます。ほかにも「事業再構築補助金」や「教育訓練給付制度」といった補助金や給付制度もあるので、ぜひ活用してみてください。

宅地建物取引士の資格を取得する

宅地建物取引士の資格を自ら取得することでも、開業資金を節約できるでしょう。不動産屋を開業する際は、ひとつの事務所につき5人に1人の割合で専任の宅地建物取引士が必要です。宅地建物取引士の資格を取得していない場合は、毎月数十万円の人件費を負担して宅地建物取引士を雇わなければいけません。

自分で宅地建物取引士の資格を取得した場合は、1人でも不動産屋を経営できます。つまり、宅地建物取引士1人分の人件費(数十万円)が浮くわけです。ただし宅地建物取引士の資格を取得する際は、未経験者で半年〜1年ほどの勉強時間が必要になります。1人で不動産屋を開業したいのであれば時間を見つけてコツコツ勉強し、宅地建物取引士の資格を取得しましょう。

カーシェアリングを活用する

カーシェアリング(会員同士で車を共有して使うサービス)を活用すれば、開業資金だけではなく毎月のランニングコストも節約できます。不動産屋には顧客を乗せて物件案内をしたり、物件や法務局などへ移動したりするための車両が必要です。ただし自社で車両を保有すると、購入費用や毎月のランニングコストが発生するため、金銭的負担が大きくなります。

カーシェアリングであれば、予約さえ取れれば当日かつ短時間(15分単位等)の利用が可能です。また利用料金(15分200円等)にはガソリン代や保険料などが含まれており、わかりやすい料金形態になっています。数時間程度の利用であれば、レンタカーよりも安くなる可能性があるでしょう。不動産屋の開業時には、カーシェアリングの活用も検討してみてください。

不動産の開業資金を理解して低リスクで始めよう!

不動産の開業資金を理解して低リスクで始めよう!

不動産屋の開業資金は、平均で400万〜500万円といわれています。主な内訳と金額の目安は以下の通りです。

 

内訳・金額

開業時

法人設立費:6万~24万2,000円

事務所開設費:0~400万円

宅地建物取引業の申請手数料:3万3,000円~9万円

宅建or不動産・保証協会の費用:100万~170万円

営業保証金:1,000万円~(保証協会への加入で免除)

開業後

広告費:無料~数百万円

人件費:20万円~

当面の運転資金:60万~200万円

当面の生活費:100万~200万円

その他諸経費:20万~150万円

このように不動産屋を開業する際は、最低でも数百万円単位の開業資金が必要です。開業資金を抑えるためにも、以下の節約方法も参考にしてみてください。

  • 保証協会に加入する
  • 自宅やレンタルオフィスを事務所にする
  • 事務所の備品は中古品で揃える
  • 補助金や助成金を活用する
  • 宅地建物取引士の資格を取得する
  • カーシェアリングを活用する

少しでも開業資金を節約して、金銭的リスクを抑えながら不動産屋を開業しましょう。

なお不動産屋を開業した際は、売上に直結する集客が重要です。ラルズネットでは、全国30地域以上で地域特化型のポータルサイトを展開しています。集客に関する悩みをお持ちであれば、ラルズネットの「不動産連合隊」まで気軽にお問合せください。

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