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社長のひとりごと2025.12.22NEW

企業を強くする情報発信

企業を強くする情報発信

各ステークホルダーが求めるもの

こんにちは、鈴木です!

今回は、「企業における情報発信の重要さ」についてお話しします。

企業が情報発信する相手は、主なステークホルダー、つまり「お客様、社員、銀行、株主・投資家、取引先、地域社会」です。それぞれ重視する点は異なります。

お客様は「対価以上の価値」を、社員は「待遇・成長機会・働きやすさ」を、銀行は「確実な返済」を、株主・投資家は「投資額以上のリターン」を、取引先は「フェアな長期取引」を、地域社会は「地域活性化」を期待します。

そのため、相手の期待にフィットした発信が重要です。
たとえば採用サイトでは、公正な評価にもとづく待遇・キャリア制度を。銀行向け資料には、安定的な収益基盤や再現性のあるビジネスモデルの説明を——といった具合です。

そして全ステークホルダーに対し、“超”重要な共通アピールポイントが「自社の未来プラン」です。これが示されないと、皆が不安になります。

未来を語らずに「今月の売上、どうするんだ!」という声だけが響く社内では、ゴールの見えないマラソン状態になり、疲弊や離職が増え、採用・教育コストも膨らみ、経営も自転車操業になりがちです。

また、銀行も具体的な成長シナリオがなければ取引に慎重になります。逆に、未来の計画が具体的に示されていれば、予想外のチャンスが舞い込むこともあります。

当社も、不動産ポータル事業にとどまらず、社内で蓄えた経営ノウハウを活かし、人口激減という大きな国内課題をお客様と乗り越えるべく、“中小企業のための生産性倍増プラットフォームをつくる”という新しいミッションを掲げました。

具体的には「付加価値向上」「工数・コスト削減」「組織化」の3領域でサービス展開し、これをベースに1年後・3年後・5年後の計画を描きました。将来の道をはっきり示したことで、社内でもベクトルが揃い、人や部署の役割が明確になったと感じます。私自身も、セミナー登壇や書籍執筆の機会が生まれました。

全てのステークホルダーは「この会社には未来がある」と感じるからこそついてきます。その期待の総量がマーケットを動かします。だからこそ、国も企業もトップは常に、誰もがイメージしやすい形で未来のプランを語ることが求められます。

中小企業こそ「プロセスの発信」を

企業の情報発信は「ファクト(事実)」と「プロセス(過程)」の2種類に分けられます。
「ファクトの発信」のわかりやすい例はニュースやプレスリリースで、「当社の新商品はこれです」といった確定情報を載せます。

これに対し「プロセスの発信」は、企業ブログや当ブログのように、何かに向かっている途中経過を共有します。その性質上、気軽に発信でき、内容もほぼ無限に作ることができます。

私は中小企業ほど、こちらをおすすめします。淡々とした事実だけでなく、そこに至るまでの苦労や努力を飾らずに発信したほうが、共感を得やすいからです。

とくに「人・価値観・ストーリー」の3点は唯一無二で、他社がマネできない部分です。

昨今、「人起点の購買」があらためて注目されています。簡単にいえば「信用できるあの人から買いたい」という消費者心理を指します。この傾向は「複雑で専門的」「高額で失敗リスクが大きい」「クリエイティブ性がある」「趣味嗜好に関わる」といった商品でよく見られます。

具体的には、保険、投資、法律、教育、コンサル、広告、デザイン、医療・健康、美容・服飾、そして不動産業界が当てはまります。
実際、人気アパレル店のサイトでは店員の着こなしから服を探せますし、飲食ポータルではグルメ通ユーザーの行きつけの店を探せます。

不動産会社でも、物件だけでなく「人」を前面に出す企業が増えています。
経営者の価値観やスタッフの人柄、社内の様子、生活者に役立つ知識を、自社メディアやSNSで積極的に伝える——まさに「人起点の購買」を意識した動きです。

また、情報発信と聞くと、ハードルを高く考えがちですが、「プロセスの発信」に巧さは関係ありません。整った文章や写真より、下手でもリアルで人気(ひとけ)があることが大事です。

きれいな素材写真や表面的なフレーズより、現場で四苦八苦している様子や、本気の想いで働いている人の一言のほうが心に響き、その会社らしさが伝わります。

ただし、私が「これだけは注意しよう」と決めている点があります。それは「見てくれた人に最低ひとつはお土産を持ち帰ってもらう」という意識です。情報発信は、箱の中にプレゼントを入れて相手に渡す行為だと思っています。

たとえば、このコーナーは読者を経営者・管理職と想定し、お土産を「経営体験の共有」と設定しています。当社の話でも、お客様が「自分ならこう置き換えられる」と思えるように、抽象化・転用しやすい内容を心がけています(これがないと「今日はラーメンを食べました。以上」みたいな個人日記になってしまいます)。

近況や雑談も大切にしつつ、必ずお土産を入れる——これを常に意識しています。

鈴木 太郎

(株)ラルズネット代表取締役社長。函館市出身。2006年明治大学卒業。宅建士資格を取得し、野村不動産ソリューションズ(株)入社。不動産仲介(法人営業)に携わる。その後、講師職を経て2010年当社入社。営業部にて制作事業の売上を3倍にリード。2013年同社GM就任。同年、総売上最高値更新。2014年同社常務取締役就任。営業、商品企画、経営戦略を担当。2020年から現職。

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