ラルズネットの組織論 ~優秀な人が不在でも困らない仕組み~
「人が育たない…」「自分の時間がない…」 「結局、全部自分がこなしている…」
そんな悩みを抱えている経営者やマネージャーの方はたくさんいると思います。
今回は、僭越ながら、ラルズネットの組織論と題し、弊社がどうやって組織化してきたかをお伝えします。
教科書に書いてあるような耳障りの良い内容ではなく、何度も苦い思いをしてきた弊社の経験則に基づいています。少しでも参考になれば幸いです。
目次
1.「組織」とは何か?
そもそも「組織」とは何でしょうか?
様々な考え方がありますが、弊社では組織の定義を「優秀な人から順に不在でも困らない仕組みがあるチーム」としています。
そして、この仕組みを作れる人を「マネジメントの適性がある人」とし、マネージャー職として抜擢しています。
優秀な人というのは、(経営者自身も含め)どのチームにも1人はいるのではないでしょうか。
営業でいうと、毎回高額契約をしてくるホームランバッターのような存在です。
しかし、同時にこのようなリスクも頭をよぎるはずです。
「今月の営業数字は、彼がいなかったらどうなっていたんだろう…」と。
実際、そのような状況に何度か見舞われたこともあり、弊社では自然に次のような考え方が社内に浸透しました。
「このままじゃダメだ…!優秀な人が不在でも困らない仕組みを作ることこそが重要なんだ!」と。
どんなに優秀な人がいても、それだけでは今以上に企業として成長できないことを肌で感じたのです。
個としての強さと、組織としての強さは、まったくの別物であることに気付いた瞬間でした。
2.誰でもカンタンにできるようにする
以前の弊社であれば、新人が入社したら、「先輩の背中を見て仕事を覚えよう!先輩の良いところを真似しよう!」とざっくり伝えていました。
また、「もっとお客様目線で考えようよ!」「真剣にがんばればもっと結果はついてくるはずだよ!」など、抽象的かつ、精神論的なアドバイスもしていました。
しかし、これには大きな弊害がありました。それは、新人の学習力に差がある場合、結果も大きく差がついてしまうということです。
「先輩の背中を見る」だけで自主的にどんどん仕事を覚えてしまう人もいれば、それだけではなかなか覚えられない人もいるのです。
弊社が目指す「優秀な人が不在でも困らない仕組み」というのは、言い換えると「個の能力の違いによってパフォーマンスがブレない仕組み」ともいえます。
すなわち、究極は、すべての仕事を、入ったばかりの新人でも「誰でもカンタンに」できるようにするということです。
理論的には「それはそうだ」となりますが、「言うは易し。行うは難し。」で、実行するのは簡単なことではありませんでした。
以前、大手アパレルメーカーの業務が徹底的にマニュアル化されているという話を聞いたので、調べてみたところ、そこでは、「服はキレイにたたむこと」と教えるだけでなく、「キレイにたたまれた服というのはこういう状態です」「雑にたたまれた服というのはこういう状態です」と、写真まで添えられていたことに驚きました。主観による誤差をなくしているのです。
そこで弊社も、「自分しかできない技能はマニュアル化する」「ミスや疑問点が出たら、その都度、解決策をマニュアルに付け足していく」という文化を、なるべく図解付きで徹底しました。
「専門知識のない新人でもやるべきことがパっとわかり、ハイパフォーマンスが出せる状態」を一つの目標としています。
3.どんな仕事でも2人以上できるようにする
「その仕事はAさんができるから別に困ってないよ。今も順調に業務は回ってるし」
弊社は以前、そのように考えていました。
しかし、この状況は、会社にとっても、スタッフ個人にとってもハイリスクであることに気が付きました。
Aさんしかできない仕事があるということは、まさに会社がAさんに依存しきっている状況のため、マネジメント層は「君がいないと会社はどうにもならないんだ…。頼む…!もっとがんばってくれ!」と、さらに求めてしまいがちです。
その結果、Aさんの負担は減るどころか、どんどん重くなってしまい、休暇も取りにくくなってしまいます。
いくら仕事ができても、時間が取れなければ、ゆとりある生活は送れないでしょう。
すべては、「代理が利かない」ことに原因があります。
そこで弊社は、「その仕事はAさんができるからいいや」ではなく、「同じ仕事をBさんもできるように教えてあげてね」とAさんに言うようにしています。
なお、人に教える際、「自分でやったほうが早いからやってしまおう」と考えてしまっては、いつまで経っても組織化が進まないので、仮に一時的にパフォーマンスが落ちてでも、ここはグッと我慢するよう伝えています。
4.すべての社内状況を見えるようにする
弊社は複数のオフィスがあるため、スタッフ同士がコミュニケーションを取るのに、距離の壁がありました。
しかも、離れていると、誰が何をしているのか把握するにもいちいち時間がかかるという課題がありました。
たとえば、マネージャーが「フィールドセールスのCさんがどんな動きしてるのか知りたいんだけど、どこを見ればいいの?」と思ってもパっと出てこなかったり、「今日のDさんのTODOはどこを見ればわかるの?」と思っても、どこにも情報がなかったり…という状況です。
これでは「組織」からほど遠くなってしまうのは言うまでもありません。
そこで、弊社の場合、システムをフル活用し、社内状況をガラス張りにし、スタッフの誰もが見れるようにしました。
まずは場所と時間にとらわれない「仮想オフィス」が必要だと判断し、社内向けのグループウェアシステム(オンライン掲示板のようなサービス)を導入。
これにより、どのオフィスにいても、各スタッフがまるで隣の席で働いているかのような距離感になり、誰が何をしているのかが一目でわかるようになりました。
※2021年9月追記:
出社勤務・リモートワーク勤務に関わらず、皆で研修やイベントを行える環境も整備しました!
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また、弊社はシステム会社でもあるため、あらゆる数値をボタン1つでビジュアル化する社内向けシステムも作りました。
その結果、フィールドセールスやシステム部・デザイン部の進捗状況などが一目でわかるようになったため、スタッフ同士が「この作業はこのスケジュールのままだとマズくないですか?」など、お互い指摘し合うようになりました。
(これは、「業務が可視化されていなければ、会社の課題も見えてこない」ということを痛感した事例となりました。)
なお、わざわざ自前でシステムを作成しなくとも、今では安価な社内向けオンラインシステムが数多く提供されているので、目的や用途に合った他社サービスを積極的に試してみるのも良いでしょう。
5.「優秀な人が不在でも困らない仕組みを作った人」が優秀
「優秀な人が不在でも困らない仕組み」を作っていく上で大事なことがあります。
それは、「自分より優秀な人を育てた人」や「優秀な人が不在でも困らない仕組みを作った人」こそが優秀であると社内で定義することです。
その点をはっきり伝えなければ、優秀な成果を収めた人が、「自分が不在でも成り立つって、なんだか複雑な気持ち…」と思い違いをしてしまうでしょう。
そのため、弊社では、「自分より優秀な人を育てること」や「優秀な人が不在でも困らない仕組みを作ること」を、キャリアアップの条件として組み込んでいます。
ど
んなに仕事ができても、後輩を育てることができなかったり、自分より優秀な後輩を認めることができない人はキャリアアップできません。
また、「優秀な人が不在でも困らない仕組みを作る能力」を弊社では「マネジメントの適性」と呼び、この適性を満たしていない人は、マネージャー職には抜擢されません。
このやり方で弊社では、各スタッフが自ら積極的に、自分以外の人でも自分と同じことができるよう、周囲の人を教育したり、マニュアルを作るようになり、その結果、自分の時間を生み出し、生まれた時間で新しいことにチャレンジするようになりました。
これらは、あくまでも弊社が経験してきたことを元に確立してきたノウハウなので、どの企業にも一概に当てはまるものではありませんが、もし、他社様でも思い当たることや適用できそうなことがあれば幸いです。
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