不動産投資は成功させることができれば、長く収益を得られる投資です。会社員として組織に属さずにお金を稼ぐことも夢ではないため、近年人気の高まっている投資方法です。
しかし不動産投資では、経営状況だけではなく、もう一つ意識すべき大切なことがあります。それが不動産投資の「終活」、すなわち事業承継の問題です。
こちらでは事業承継について考えるべき理由と、スムーズに承継を進めるためのポイントについてお伝えします。
不動産投資を事業承継する必要性
不動産投資で成功するための秘訣やノウハウについて書かれている本は沢山あります。しかし、保有している不動産の「事業承継」のための本はあまりないと思いませんか?
その理由はいくつか考えられますが、根本的には「自分が経営から退いた時のことを計画していない」ためです。
周囲の家族は勿論、自分自身も「何とかなるさ」、「何かあっても、相続でどうせ家族が継いでくれるから」という考えの場合が多くあります。
投資を始めたそもそもの動機が「子供や孫に何らかの資産を残してやりたい」といったケースが多いため、事業として行っているという意識が他の業種よりも薄く、「相続で家族に渡るのであれば願ったり叶ったり」ということも影響しているでしょう。
しかしこれは、後の世代で事業として立ち行かなくなる可能性があるばかりか、相続の段階で揉めに揉めてしまうことにもなりかねません。
今や、不動産投資は片手間に手がけて上手くいくようなものではありませんので、家族に残しても上手くいくとは限りませんし、そもそも家族の意思は異なるかもしれません。
人間は誰しも年を取ります。不測の事態も起こり得ますから、他のことと同様に不動産に関しても、自分が経営できなくなった時のことを考えて準備をしておくことが大切です。
特に、アパートやマンションなど不動産物件の場合には、入居者あってのことです。
自分に何かあった時に引き継ぎでゴタゴタしてしまうと、残された家族や親族だけではなく、入居者にも多大な迷惑をかけてしまうことになります。
さまざまな点について十分に考慮した上で、事業承継を適切に行うことが大切です。
事業承継のポイント1 ~後継者を決める~
まず、誰に事業を承継するのかを決めましょう。
自分の子供に残したいという場合がほとんどだと思いますが、そういった時でも相続の揉め事を防ぐため、子供には事前に意思を確認して、周囲の理解も得る必要があります。
通常、何も意思が示されていない相続では、財産を法律で定められた割合に応じて公平に分割します。
しかし、子供のうち誰か1人に事業承継をさせたい時には、その子供に不動産を集中して残すことになるのが自然の流れです。その際、他の家族から不満が出ることも考えられます。
それを防ぐためにはっきりと意思を示して、希望通りに財産が分配されるように準備を行う必要があります。
遺言状で、その子供1人に不動産を残す旨を書くことは簡単ではあるのですが、それで希望通りになるとは限りません。他の家族が分配されるべき割合、「遺留分」を侵害することになるため、遺留分減殺請求を起こされるリスクが残ることになります。
よりしっかりと備えるためには、不動産を事業用のものとそうではないものに分けた上で、遺言状で分配割合を指示するという方法が有効です。また、事業の法人化も良いでしょう。
いずれにしても、漠然とではなく明確に意思を持って後継者を決定し、その相手を始めとした周囲と良く話し合って、皆が納得できる形にしておくことが大切です。
事業承継のポイント2 ~後継者を育てる~
事業承継の後継者を決めた後は、その後継者を育てていくことが必要です。
いきなり不動産を残されて「今日からお願いします」と任されても、よほど経営のセンスのある人でない限り難しいことです。
不動産投資・経営に必要なさまざまな知識を教えていくと共に、後継者としての自覚・意識を促すということが大切です。
後継者が自分の子供など身内の場合、事業として承継するという意識が双方ともに希薄になってしまうことがあります。
この弊害を防ぎ、承継後も事業として成功させるためには、なるべく早いうちから知識と意識の伝授を行うと良いでしょう。
また、こうした教育や働きかけは急に始めるのではなく、徐々に行うこともポイントです。物件の引継ぎでも一気に全て任せるのではなく、少しずつ引き継いでいくとスムーズに承継ができます。
事業承継のポイント3 ~情報を整理しておこう~
書類を始めとした情報を、見やすい形にしておくということも大変重要です。保有資産の一覧、それぞれの資産の評価額と活用状況、収益状況の推移など、表などに整理しておきましょう。
それまで自分一人で不動産事業を行っていたという場合には特に、「自分であれば分かる」という情報になっていることが多いです。
自分がその場にいなくても、誰が見ても分かるようにしておくことがポイントです。
こういった作業は中々面倒なものなので、必要となった時にすぐには準備できません。計画的に取り組んでおくようにしましょう。
事業承継で引き継ぐ財産とは
事業承継で引き継ぐことになる、あるいは引き継ぐべき財産には、そもそもどのようなものがあるでしょうか?
不動産(土地と建物)、これは勿論大切です。それ以外にも不動産投資における事業承継では、運転資金、知的財産として競争力のある差別化物件や立地条件、管理サービスや担保力を引き継ぐ必要があります。
不動産だけを持っていれば事業を行えるわけではありません。物件の修繕、ローンや税金など、不動産経営にはお金が必要です。
こうした支払いを行うためのものが運転資金、つまりキャッシュです。
キャッシュがないがために黒字倒産に陥るケースもありますから、運転資金は十分に残すようにしましょう。
デザイン的に優れた物件や、恵まれた立地条件の物件など、競争力のある不動産も是非残して引き継ぎたいところです。
立地条件の良い物件は、いつでも人気がありますし、知的財産として認められる差別化物件も同様です。こうした不動産は誰でもが手に入れられるわけではありませんから、残しておけば事業の基盤となります。
これらに加えて、これまで培ってきた管理サービスのノウハウや、資金融資を受ける際の担保力などを承継していくように努力すれば、不動産投資の事業承継はスムーズに進むでしょう。
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