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2019/07/16 2019/10/24

「時間」の価値が高騰した時代を生き抜く企業戦略

鈴木常務鈴木常務

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「時間」の価値が高騰した時代を生き抜く企業戦略

今回は、以前、社内の編集部から受けたインタビューで、クライアント向けのコラム『ラルズマガジン』に掲載された記事をお届けします。

 

「企業戦略として、これからどんなことが大事になってくるか?」というテーマに答えています。

 

経営者向けの内容ではありますが、商品企画やプロモーションの他、いろいろな場面に応用できる考え方が載っているので、学生や就活中の方もぜひ読んでみてください。

1.「時間」の価値が、かつてないほど高騰している

── 企業戦略として、これから大事になってくることは何だと考えていますか?

 

「時間」です。これが、一番のテーマになると思っています。

──「時間」ですか・・?

 

はい。企業活動には、販売、顧客対応、製品・サービス企画、人材採用、職場づくり、仲間とのコミュニケーション、経営における意思決定など、欠かせない要素がいくつかあると思いますが、それらを円になるようにノートに書いていくとすると、中心に置くのは「時間」になってくるんじゃないかなと。

 

「時間」が、すべてを考える上での起点となるということです。

企業活動において、中心となるのは「時間」

── 詳しく聞かせてください。

 

これ、完全にスマホが原因だと思うんですが、今、「時間」の価値がかつてないほど高騰しているように思うんです。

 

スマホがまだなかったころは、基本的に、テレビは家でしか見れなかったし、仕事は会社でしかできなかったじゃないですか。駅のホームでは電車を待つしかなかった。

でも、スマホのおかげで、駅のホームで仕事したりテレビ見たりしてるうちに、電車が来るようになりましたよね。
電車の中でも同じことができるので、もう、 切れ目なく「使える時間」が連続して、「捨てる時間」がほぼなくなったと思うんです。

 

その結果、世の中の価値観がガラっと変わってしまったんじゃないかなと。

── みんなが「時間」の価値に敏感になった・・?

 

そうです。無意識にせよ、みんな「時間」の価値をあらためて考え始めたんです。
「この時間は、本当に自分にとって有意義なんだろうか?」と、検証が始まったわけです。

 

そうやって新たに価値を再定義された時間というのが、これが昔と比べてめちゃくちゃ細かい。


「秒」単位です。

 

実際、長い動画って、全然見られなくなってきてますよね。
媒体や内容にもよりますが、今のユーザーに集中して見てもらえる動画の長さは、企業サイトの製品紹介で3分くらい、FacebookやTwitterで45秒くらい、Instagramだと30秒くらいなんじゃないかなと思います。

企業サイト3分 Twitter45秒 Instagram30秒

画像引用元 SHARP / AQUOS zero スペシャルサイト , Twitter / Sony (@sony_jpn) , Instagram

── たしかに、私も動画が長いと、途中で違うこと始めちゃいますね・・。というか、長いというだけで見ないかも・・。

 

それが普通だと思います。世の中の価値観の更新って、いつも、そっと起きるんですよね。気付いたら終わっているというか。

 

たとえば、休日に上司から電話がかかってくるのは誰でも嫌だと思いますが、最近では、休憩中ですら上司に話しかけられて嫌な気持ちになる人もけっこういるんじゃないかなと思うんですよ。
なんとなく 「自分の時間を奪われた」と感じる人が増えてるんじゃないかなと。

 

これはダメなことではなく、むしろ、時間価値が高騰してる現代においては正常な感覚だと思います。

── なるほど。コミュニケーションにおいても「時間」の価値を軽視すると、すれ違いを生んでしまうかもしれないということですね。いや、しかし、時間価値というのは、こうして言われてみると、今まであまり意識してきませんでした。

 

お金は盗むと捕まりますが、時間は今のところ捕まりませんよね。そのため、お金よりシビアに考えられていないこともあると思います。
時間もコインの形をしていたらわかりやすいんですけどね(笑)

時間とお金を盗む違い

2.「時間」という商品 

 

先日、タクシー運転手さんが、「いやぁ、最近は話しかけると不機嫌になるお客さんが増えてきてねぇ」ということをおっしゃっていました。 私も、「うーん、たしかに、話しかけられるよりは、話しかけられない方がいいなぁ」と思いました。

 

そのとき、ふと、このタクシーの運転手さんは、自社の商品が「時間」だということに気付いているんだろうかと疑問を持ちました。
もしかしたら、自社の商品を「移動」だと思っているんじゃないかと。

 

移動だけなら、みんな電車やバスに乗るわけで、それでもタクシーに乗る理由というのは、「時間」を買えるからです。

 

タクシーというのは、本来であれば電車やバスのつり革につかまって移動しかできない時間を、「移動しながら○○ができる」という時間に変換できる商品ですよね。
人によって、○○に入るのは、「資料作成」だったり、「読書」や「睡眠」だったりしますが、とにかく時間を買っているわけです。

で、タクシーの運転手さんがお客さんに話しかけるというのは、せっかく買ったその人の時間を奪う行為になっちゃうわけですよ。
これだと、自分で売った商品を自分で奪うという、よくわからないことになってしまう。

 

コンビニで、からあげクン買ったのに、店員にからあげクン盗られたら怒るじゃないですか。そんなかんじなのかなと(笑)

── なるほど・・。今の話を聞いて、先日、インターネットのショッピングサイトで、テーブル付きのフィットネスバイクがバカ売れしてるというニュースを思い出しました。 もしかしたら、これも、本来「フィットネスバイクを漕いで痩せましょう!」という商品だったのに、「フィットネスバイクを漕いで痩せながら、その間に、◯◯もしちゃいましょう!」という、「時間」の価値を打ち出したから売れたのかもしれませんね。

 

その通りだと思います。実際、ゲームしながらダイエットとか流行ってますよね。
「△△できます」だけだとダメで、「△△しながら、◯◯できます」のような、時間価値をより高める商品はこの先も売れていく気がします。

3.時間価値を高めるための3要素 

 

「時間」の価値から考えるのは、製品・サービス企画においてもすごく重要です。

 

日本では、生産年齢人口(15~64歳の人の数)が、1990年代は人口の70%を占めていましたが、2018年に59%まで下がっています。

 

そして、現在、社会的にも、人手不足倒産が大きな問題になっています。
魅力を打ち出せなかったり、労働環境が劣悪な会社は、すぐに 採用難・退職者増で回らなくなり、つぶれてしまうリスクが高くなっています。

 

この局面でやるべきことは、人材を確保することと、一人当たりの生産性をアップすることです。 仮に、どうしてもやらなければいけない業務が4人いても回らなければ、5人目を雇用するか、4人でも回るよう効率化するしか方法はありませんが、5人目を雇用するというのは、今、簡単ではなくなっています。

 

ここでもし、4人かかる業務を、半分のリソースの2人で回せるような製品が出てきたら、それは間違いなく売れると思いますよ。

── 人が減って採用が難しくなっている状況では、生産性アップの必要性が過去にないほど高いと。だから、相手の手間を減らすサービスは人気が出るということですね。

 

そうですね。もっと詳しくいうと、時間価値を高めるというのは、

①使える時間が増える
②費やしていた時間を減らせる
③時間あたりの密度を濃くする

 

ということです。これらのうち、いずれかを満たす製品・サービスの人気が出ると思います。

──「時間あたりの密度を濃くする」というのは初めて聞きました。どういうことでしょうか?

 

たとえば、ずっと部屋にいて昼寝してテレビを見て1日を終える場合と、早朝の飛行機で上海に行き、ディズニーで遊び尽くし、日帰りで日本に帰ってきたあと、夕方に友人と温泉に行き、夕日を見ながらビールを飲んで帰宅して1日を終える場合とでは、後者の方が多くの時間を過ごしたと感じるはずです。「何日分も遊んだ気がするけど、まだ今日なんだ」というふうに。

 

物理的な時間を増やすことはできなくとも、時間あたりの密度を濃くすると、少なくとも体感として使えた時間は増えたように感じますよね。これも、時間価値が高くなった事例だと思うんです。

時間あたりの密度が薄い… or 時間あたりの密度が濃い!

── なるほど。そういうケースもあるんですね。ところで、さきほど出た、時間価値を高めてくれる①~③というのは、具体的にどんなジャンルが当てはまるんでしょうか?

 

うーん、パっと思いつくものだと、「健康になれる」「効率化できる」「やりがいを擬似体験できる」とかですかね。

 

なんとなく、そのあたりの物や人やイベントは、ますますヒットしていくような気がしますね。

── そうか、どうりでテーブル付きフィットネスバイクが売れるわけだ(笑)しかし、この①~③の要素は、採用活動や職場環境を良くしていく上でも使えそうですね。メモしよう。(メモメモ・・)

4.お客様から手間と複雑さを取り除き、「時間」を増やす

── 時間価値が高い時代に何かを発想するコツというのはありますか?

 

「お客様が、今、何に時間が取られていて煩わしいと思っているのか」に注目することではないでしょうか。

 

たとえば、弊社のWEB制作事業の例でいうと、「ホームページやコンテンツを新しく作りたいけど、打ち合わせがなんだか大変そう」という声が少なからずあったので、 『フォーマット型ホームページ オンライン購入機能』というものをリリースしました。

 

これは、一言でいうと、 ホームページやコンテンツを、ネットショッピング感覚で、誰でも気軽にカンタンに買い足していける機能です。
ボタンをポチポチ押していくだけで、高品質なホームページとコンテンツがすぐに手に入る。デザインもカラーもコンテンツも好きに選べる。

 

ホームページやコンテンツをつくるって、なんだか大変そうなイメージがあるじゃないですか。知識もお金も時間もかかりそうな印象というか。それをガラっと変えようという考え方ですね。 お客様に時間をかけさせず、良いものを提供できたら、それが一番良いので。

 

似たような機能で、業界を絞らず広く浅いサービスは他社でもあったのですが、不動産業界に絞った、不動産会社専用のものは今までなかったと思います。

フォーマット型ホームページ オンライン購入機能

── 品質を落とさず、時間をカットすることをコンセプトにしたということですね。

 

そうですね。そして「複雑さ」もです。

── 複雑さ?

 

時間価値が高騰すると、複雑なものへの拒否感がますますすごくなると思うんですよ。

 

ちょっとでもめんどくさそうなものは、それだけで「もうムリ」となってしまう人が増えるんじゃないかなと。手間に対するガマンの限界値が下がるというか。

 

3秒あれば知人にLINEでスタンプを送れるし、30秒あれば今日あった出来事をチェックできます。3分あれば、インターネット上の学習コンテンツの1講義が見終わる時代です。

 

そういうご時世に、「なんだか難しそう・・」「説明書読まないとわからなそう・・」「よく考えないと理解できなさそう・・」というものは、さすがにみんな使わなくなると思うんです。

5.「速い!」「カンタン!」「ワクワクする!」時間価値から企業活動のすべてを再設計せよ

── たしかに。でも、意外とそういうものって、世の中に多いですよね。

 

すごく多いですね。だからチャンスなんです。

 

同じような機能・サービスでも、 「めちゃくちゃ速い!」「めちゃくちゃカンタン!」「めちゃくちゃワクワクする!」というように、時間価値を主軸に置いてつくり直すだけでも、受け入れられ方が全然変わってくると思うんです。

 

差別化って、誰もやってないような斬新なことをやるだけじゃないですから。

──「とにかくカンタンに」というのは、鈴木さんが社内ミーティングでいつも言っていますね。1000回くらい聞きました(笑)

 

言ってますね。今でも毎週言ってます。
「まったく知識のない人が、その製品をパッと見たときに、まず、何をすればいいのかがわからないとダメ」と。
昔は、「遠くから見たときに、国籍の違うおじいちゃんでも、1秒でわかるように」と言っていたこともあります(笑)

── それはムリがあります(笑)しかし、時間価値から考えることって、ほんとに大事なんですね。インタビューもそろそろ終わりに近づいてきました。最後に何かあれば一言お願いします。

 

そうですね。重要なので繰り返しになりますが、今、すべての起点にすべき概念は「時間」で、私はここが命運を分けると考えています。
時間価値がかつてないほど高騰しているため、時間のことを考えていない人や組織やサービスは、残念ながらうまくいかない可能性が高いと思います。

 

考え方はシンプルです。

 

相手に価値の高い「時間」を与えられるのか、相手から必要以上の「時間」を奪ってしまうのか?
自分や、自社や、自社の製品・サービスは、どちら側にいるのか?

あなたのソレはどっち? 相手に価値の高い「時間」を与えられる or 相手から必要以上の「時間」を奪ってしまう

販売、顧客対応、製品・サービス企画、人材採用、職場づくり、仲間とのコミュニケーション、経営における意思決定など、企業活動のすべてを、時間価値を中心に設計し直すくらいの気概を持って、弊社は新しいスタートを切っています。

── 本日はありがとうございました。

この記事を書いた人:鈴木常務

経営戦略、商品企画、人材採用の責任者をやっています。 この仕事をやっていて感動するのは、頭の中に描いたものが、実際に動く商品になり、お客様から「めちゃくちゃいい!」って言われたときです。 みんなと一緒にがんばって作って良かった!って、しみじみ思います。 自分自身、成功より失敗の方が何倍も多いですが、いつも仲間に助けられ、困難を乗り切り、そのたびに少しずつ成長してこれたのかなと思います。 その中で得た学びをブログで発信していきます。