色々と面倒な手続きの多い不動産売却。特に売却したい不動産が遠方にある場合や、病気などで身動きがとりづらい人にとっては、さらに難易度が上がることでしょう。
そのような場合の対応策として、代理人に手続きを行ってもらう方法があります。そのときに必要な委任状はどのように作成すればよいのか、注意点などを見ていきましょう。
不動産売買手続きは代理人に委任できるのか
不動産売買の手続きは、原則不動産を所有している本人が行わなければなりません。
しかし、どうしても手続きの場に行くことができない事情がある場合に限り、委任状によって代理権を与えられた第三者が代理人として手続きに携わることが可能です。
この、手続きの場に行くことができない事情として認められるのが、売買する不動産が遠方にある場合です。
「投資用の物件を売りたいけれど海外に住んでいる」など、なかなか簡単には不動産売買契約の場まで赴くことができない状況ならば、代理人に手続きを委任することが可能です。
また、入院中で外出することができないなどのやむを得ない事情がある場合にも、代理人を立てることが認められています。
高齢化が進んでいる日本では、自由に出歩くことが難しい高齢の不動産オーナーもいるため、子どもや配偶者などの身近な人間が代理で手続きを行うことも珍しくありません。
不動産の所有者が身体的には健康でも、認知症などを患ってしまい不動産売却に必要な判断力が十分でない場合もあるでしょう。
そのような場合には、代理人ではなく法定後見人を立てることで、第三者が売買の手続きを行うことができます。
法定後見人とは、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な人の不動産や資産などを、本人に代わって管理する人のことを言います。法定後見人になるには、家庭裁判所に申告し認めてもらわなければなりません。
家庭裁判所が行う審判は2~4か月程度かかることがあるので、法定後見人を立てて不動産売買を行いたい場合には、審査期間も考慮して計画的に行動するようにしましょう。
不動産売買の委任状とは
不動産売買における委任状をどのようなものにするかは、法律によって決められているわけではありません。
しかし、代理行為に関して定められている民法99条において任意代理人は、決められた権限の中で依頼人のために代理行為を行うことを示さなければならないと定められています。
この「依頼人のための代理行為」を証明するため一般的に、委任状には依頼人と代理人がそれぞれ何者なのかを明示した上で、依頼人のために代理で手続きを行う旨を記載しなければなりません。さらに権限の範囲も明記しておく必要があります。
委任状の項目
代理人と依頼人が何者かを明らかにするため最低限必要なのが、住所と氏名の2つです。
代理人は住所氏名だけで問題ありませんが、依頼人である売主は住所氏名の他に、自分が委任したことを証明するための署名と押印も必要となります。
また、代理人に与える権限の範囲を定めるために、売買価格や手付金の額、決済引き渡し予定日などの売買契約に関する条件も明記しておきましょう。さらに、委任状を作成した日付も忘れずに記載しておく必要があります。
委任状以外の必要書類
委任状の他にも必要書類として印鑑証明が挙げられます。これは売主と代理人の両方のものが必要です。
売主の印鑑証明は委任状の押印を証明するために、代理人の印鑑証明は手続きの際に使う実印を証明するために用います。
また、手続きに訪れた代理人が本人なのかを確認するため、免許証などの本人確認書類も必要となるので、忘れずに準備しておかなければなりません。
不動産売買を委任する際の注意点
不動産売買は大金が動く契約であるため、慎重に行わなければなりません。第三者に委任するならば尚更注意が必要です。不動産売却で失敗しないために、どのような点に注意すべきかを押さえておきましょう。
不動産売買を委任する際の注意点
不動産売買を委任する際に何より大切なのが、誰に代理人を頼むかということです。
委任してしまった以上、委任状に反しない範囲で代理人が好き勝手に契約をしても文句を言うことはできません。自分のために手続きを行ってくれると信頼できるような人物を選びましょう。
代理人を任せられるような人が身近にいない場合は、司法書士などの士業に依頼するのも一つの手です。
手数料は必要になるものの、プロとして確実に手続きを行ってくれるので安心して任せることができます。
不動産売買の委任状を作成する際の注意点
委任状を作成する上で大切なことは、白紙委任状には決してしないということです。白紙委任状とは、契約条件などを明記せず、代理権の範囲が定められていない委任状のことを言います。
この場合、売却にかかわる全てを代理人に任せることになってしまい、もし売主が望むような契約を結べなくても、代理人に文句を言うことができません。
どんなに信頼できる代理人を選んだとしても、代理人に丸投げするようなことは避けましょう。
また、委任状に押す印鑑も気をつけなければいけません。実印を押されていない委任状は、委任状として効力を発揮しません。
もし委任状が不完全なものであった場合、契約を進めることができなくなり、代理人のみならず買主にまで迷惑がかかります。
不備のない委任状でトラブルを回避
委任状を用意することで、確かに不動産売却の手続きを代行してもらうことができます。しかし、いくら代理人を立てたからといって何もかも任せきりにしてしまうのは賢明ではありません。
あくまで不動産売却の主体は自分自身であることを忘れずに、後悔なく売却できるようにしましょう。
そのためには不備のない委任状を用意し、事前にトラブルを回避できるようにしておくことが大切です。本記事を参考に、納得のできる委任状を作成しましょう。
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