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売却取りやめ時に注意したい手付解除の期限とは
出口戦略
2022/11/01 2022/11/01

売却取りやめ時に注意したい手付解除の期限とは

株式会社ラルズネット 編集部

収益物件全般売却購入手続き・流れ

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売却取りやめ時に注意したい手付解除の期限とは

不動産投資をして、賃貸物件オーナーになりたいけれども、もしも物件の売買をキャンセルしたい時、損をしないだろうかと心配している人はいるでしょう。以下に手付解除の基本的な説明や、解除できる期限について解説します。

不動産売却取りやめ時の注意点

投資不動産の売買は、「売買契約」「物件の引き渡し」の2段階で取引がなされます。この売買契約から、引き渡しまでの間に、買主や売主が契約を解除する申し出をすることが、不動産取引の「キャンセル」ということになります。

買主側都合のキャンセルの場合

売買契約の際には、買主が売主へ手付金を支払います。額は法的には定まっていませんが、大方売買価格の10%程度とすることが多いようです。

売主が業者の場合は、手付金は売買代金の20%までと定められています。買主都合で売買をキャンセルする時は、この手付金を放棄することでキャンセルできるのです。

また、売買契約を締結しても、金融機関で物件取得のための住宅ローンが組めない場合もあります。その折には、契約自体がなかったことになるという特約があるのです。これをローン特約、あるいは融資特約と言います。

売主側都合のキャンセルの場合

売主都合でキャンセルする際は、買主から受け取った手付金の2倍を、買主へ支払います。

これは、内容的に説明しますと、まず預かった手付金の返還、そしてさらに同額の支払いが加えられることです。宅地取引業者の場合は、物件価格の10~20%をキャンセル料として支払うことが必要になります。

なぜ手付金を2倍に返還しても、売り手側がキャンセルを考えるかと言うと、対象の物件をより高値で購入してくれる客が見つかった場合や、もう少し時間が経てば物件自体の価格の高騰が見込めるケースなどが主な理由のようです。

もちろん、買い手側の返済能力や経済力に心配な点が見つかった時も、売主がキャンセルを判断することがあるかもしれません。

売却時に注意したい手付解除について 

不動産売買契約における「手付解除」とは、手付金を手渡すことによって相手方が契約履行するまで、後で「手付金放棄」という手段によって、契約を解除できるようにすることを指します。

相手方が契約履行するまでは、売主・買主はそれぞれのペナルティを課されることによって、契約を解除できますが、中でも、売主が手付金の2倍を相手方に返却して契約を解除することを「手付倍返し」と言います。

また、買主が手付金を放棄して、契約を解除することを「手付流し」と呼び、民法557条第2項により、買主は手付相当額以外の損害賠償を支払わなくても良いとされているのです。

さらに、手付金には、一定期間中には理由の如何を問わず契約を解除できるという前提で、受け渡しされる性質があります。このことを指して「解約手付」と呼んでいます。

手付解除の期限は?

民法第557条第1項では「買い主が売り主に手付けを交付した時は、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買い主はその手付けを放棄し、売り主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる」とあります。

手付解除期日について、最高裁の昭和40年11月24日判決の判例を簡単に言うと「客観的に外部から見てもわかるような形で、履行内容の一部を実行した、あるいは履行するために必要な行動をした時」と説明されています。

手付解除が出来るのは、相手が契約の履行に着手するまで、とも言えます。

つまり、手付解除期日については、おおよその目安はあるものの、明確な法的規定はないのです。

そして、手付解除はどんな理由でも一方的に契約解除できる制度であるため、いつ契約破棄されるかと相手は不安にさらされることになります。

したがって、いつまでに手付解除が可能か、売主買主双方の合意によって、明確にする必要が出てきます。

契約の履行を実行しているかどうかの判断は、外から見た場合難しいため、あらかじめ手付解除が出来る期限を決めておくのが一般的です。これを手付解除期日と言います。

これら、手付解除期日を設定するという条項は、民法の特約事項です。

手付解除期日の決まり方

標準的な手付解除期日は以下の通りです。

契約から決済までの期間が1ヵ月以内の時は、残りの代金支払い日の1週間前から10日前。

契約から決済までの期間が1ヵ月~3ヵ月の時は、契約日から1ヵ月前後の日。

そして、契約から決済までの期間が4ヵ月~6ヵ月の場合は、契約日から2~3ヵ月前後の日とされています。

手付解除期日の設定は、売主買主双方の申し合わせによって決定されなければいけません。

不動産売却の契約をした後でもペナルティなく契約解除できる!

不動産売却の契約をした後でも、ペナルティなく契約解除できることがあります。契約書をよく読んでみましょう。おかしい条項はありませんか。そうでなければ「売買契約日」が記されているはずです。

相手方からの手付金などもその「売買契約日」に支払われます。

まだその期日が来ていないのであれば、契約は白紙の状態と言えるでしょう。そういった場合は、何の咎も受けることがありません。売却契約締結時には、本記事を参考にして慌てずに、契約内容をきちんと確認することが大切です。

この記事を書いた人:株式会社ラルズネット 編集部

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