更新料というのは、借主にとってはかなりの負担になるものといえます。しかし、契約時の書類にきちんと更新料の記載がされています。では、その更新料の不払いや、支払い拒否等が起きた場合に、強制的に退去させることができるのか、ということを解説します。
2種類ある更新とは
更新料の支払いを拒否する入居者に対して対応する場合に、どんな行動ができるのかという事を考える前に、まずは契約書を見直し、どんな更新時の契約になっているのかを確認しましょう。
それに従う必要があるのか、それとも強制的に退去させることができるのか、払わせることができるかという事も含め、まずは確認することが重要となります。
まず、更新時の契約には2種類の形態があります。合意更新と法定更新です。
合意更新の場合
合意更新とは
貸主と借主の間に賃貸借契約が交わされていて、そこに金額が明文化、規定されています。もちろん、著しく高額ではない、常識的な金額の場合を想定しています。それを踏まえ、双方の合意の上で契約を更新するというものです。
不払い時にできる対応は?
一般的な更新料の考え方としては、賃貸借契約の期間が満了となる時、そのまま同じ物件に住む時に支払う費用を指します(関東では2年ごとに1か月分などが多い)。契約時に、金額も決められています。
賃貸借契約上、明確に合意更新、法定更新問わずとの記載があれば、支払う義務が明確に生じています。
しかし、不払い時に強制的退去できるかというと、難しいとされています。その理由として、一概には言えないのですが、更新料は家賃の1か月分に過ぎないため、更新料の不払いのみで信頼関係が破綻したとはいえない可能性が高いために、それを理由に賃貸借契約を解除することはできないと考えられています。
もちろん、普段から家賃の不払いなどがある場合、更新料の不払いが信頼を損なう決定的な要因になり得る可能性があるとみなされ、解除につながる可能性はあるとされます。
法定更新の場合
法定更新とは
契約が自動的に更新されるというものです。「借地借家法」には「貸主が借主に対し、契約満了の6か月前までに正当な理由のある更新拒絶の通知をするか、条件を変更しなければ更新しないという通知をしないかぎり、契約は前と同じ条件で自動更新される」と規定されています。
この法定更新の場合、更新料の支払いについて合意がないという場合は、更新料を支払わなくても契約が更新されていくので、借主も更新料の支払いをする必要がありません。借地に関する判例で、支払う必要がないというものがあります。
また、注意が必要な場合もあります。
契約書において「更新料を支払わなければならない」とされている場合
法定更新ですから、自動的に更新されていきます。しかし、契約書に「更新料の支払い」の文言があることによって、更新料が請求できるのかという部分です。
この場合、法定更新でも更新料を支払うべきとされる判例と、法定更新の場合は必要なし、とするものがあり判断が分かれています。
基本的な考えとしては、「契約書の書かれ方」によって判断が異なるそうです。先述した「合意更新、法定更新問わず」の文言があるかどうかです。
この部分に法定更新の言葉がなければ、「更新料を支払うのは合意更新」での場合であると解釈でき、法定更新の場合は支払う必要がないと判断される材料になるといいます。ここで、先ほどの「合意更新、法定更新問わず」の文言がある場合ですと、法定更新でも更新料の請求ができる可能性があります。
不払い時にできる対応は?
合意更新、法定更新の場合に更新料を払わない入居者に対して出来ることは多くありません。例えば入居者の払えない事情なども考えなくてはならない場合もあるかもしれません。経済的な事情などがわかりやすいでしょうか。
ここまで書いてきた通り、強制的に退去させることは難しいですし、強硬に退去をさせようとして退去費用を請求される、なんていうこともあり得るでしょう。1か月分の更新料の為に6か月分以上の費用を出しては元も子ありません。
そういうときのために、まずは契約時の書類に明確に記載をするというのが大事になってきます。そして、思い切って更新料を無しにしてしまうという手もあります。こういったトラブルを未然に防ぐ手立てとして、ただ更新料を無くすのではなく、家賃に更新料を予め組み込んでおくという方法です。これであれば、こういった諸々の問題も回避できるのではないでしょうか。
2年分を毎月の家賃に組み込むだけですから、そんなに大きな金額にはならずに済むでしょう。更新料などの費用がないというのは、賃貸物件を探す借り手には魅力的に映るものです。
家主としてできる対応を考える
更新料の支払いに関して、入居者から「数日待ってほしい」など、お金を用意するのが間に合わなかったという依頼には、応じてあげる方がいいという方もいます。
普段から滞納などがあれば信頼に足る要素は見えないかもしれませんが、問題のない入居者には長く住んでもらえた方がメリットはあるでしょう。普段から入居者との関係を良好にするというのも、貸主には必要なのかもしれません。
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