不動産投資は積極的に行われている投資の一つで、特に投資物件を購入・契約する人が増えています。
ただ何らかの事情で契約できなくなった場合、キャンセルできるのかどうか気になっている人も多いようです。
そこで今回は、投資物件を契約前にキャンセルできるのかどうか、注意点やリスクを含めて解説します。
契約前の投資物件のキャンセルは可能なのか
一般的に不動産の売買は、購入の申し込みをした時点から始まっています。
申し込みを受けてから1週間前後に価格の交渉や売買契約の段取りが始まるので、何らかの事情で申し込みをキャンセルしたい場合は1週間以内に申し込む必要があると考えられています。
そこで気になってくるのが、契約前に投資物件の購入をキャンセルすることができるのかどうかです。
実は、不動産の契約には宅建業法という法律が関わっており、原則として買主と売主がそれぞれの契約書にサインするまでは購入に関して法的な拘束がないとされています。
そのため、契約する前であれば購入の申し込みをキャンセルすることは可能ですし、キャンセルしたとしても違約金が発生することもありません。
また、不動産の購入時に買主が売主に対して買付証明書を渡している場合も、同様にキャンセルすることが可能です。
これは、買付証明書はあくまでも「不動産を購入する意思がある旨を表明する書面」として買主が一方的に渡すものであり、それ自体に売買契約としての効力があるわけではありません。
そのため法的な拘束力はないので、例え買付証明書があったとしても契約前に購入をキャンセルしても問題はないのです。
ちなみに、買主側が契約前にキャンセルすることが問題ないのと同じように、売主側が契約前にキャンセルすることも問題はないと言われています。
売買契約締結後にキャンセルする場合の注意点
契約前に投資物件などの不動産の購入をキャンセルする場合、法的な拘束力がないので特に問題はありません。
ただ売買契約を締結してしまった後になると法的な拘束力が発生するため、購入契約をキャンセルする際にはキャンセル料が発生します。
キャンセル料の支払いは、手付金をそのまま売主に手渡すことで成立します。
手付金とは売買契約をした時に買主から売主に渡されるお金のことで、一般的な売買契約の場合、手付金は後日買主の元へ戻ってくるのです。
契約をキャンセルする場合はこの手付金が契約解除の料金としてそのまま利用されるので、手付金は自分たちのところへは戻りません。
このことを「手付放棄」と呼び、それによって契約のキャンセルが法的にも認められます。
例外として、売主側が売買契約締結後にキャンセルをした場合は、買主から受け取った手付金をただ返還するのではなく2倍にして支払うことで契約を解除できるようになっています。こちらは「手付倍返し」と呼ばれているようです。
なお、手付金は契約前に売主と買主で金額を相談するのが一般的だとされていて、売買価格のおよそ10%程度と設定されることが多いです。
売主が業者であった場合は20%を上限として設定することができる他、原則として手付金の金額に関する決まりはないので業者以外はある程度自由に設定することができます。
購入予定物件をキャンセルする場合のリスクやデメリット
このように不動産投資用として購入を予定した物件は、契約前でも契約後でもキャンセルすることが可能です。
ただ、契約後の購入予定の物件をキャンセルしてしまうと手付金が戻ってこないというデメリットがあります。
加えて、不動産業者に対しての仲介手数料を支払わなければいけないので損失を被る点を理解しておかなければいけません。
また、購入予定の物件をキャンセルするタイミングが遅くなればなるほど、手付金だけではなく違約金を支払わなければいけない可能性が出てきます。
そうなってくるとよりキャンセルするリスクやデメリットが高くなるので、キャンセルするのであれば早めに対処する必要があります。
さらに、購入予定の物件をキャンセルする際に最も考えなければいけないリスクが、売主や不動産業者からの心証が悪くなってしまうという点です。
やむを得ない事情によってキャンセルしたとしても、一度でも契約を破棄してしまうとそのようなレッテルを貼られてしまいます。
このため、キャンセル後の不動産の売買契約や購入の際に信用してもらえなくなったり、交渉がスムーズに進まなくなったりする可能性が考えられるのです。
何度も不動産売買の契約をキャンセルした経験がある買主だと、最悪の場合は売買契約や申し込みそのものを拒否されてしまう可能性もあります。
そうなってしまうと不動産投資そのものが困難となってしまう場合もあるので、キャンセルするかどうかは慎重に考えることが重要です。
投資物件の契約前後のキャンセルは慎重に決める
投資物件の購入申し込みをした後でも、契約前であればキャンセルしても法的な問題はありません。
売買契約後であっても、手付放棄をすることによってキャンセルすること自体は可能とされています。
ただし、投資物件をはじめとして不動産の売買契約をキャンセルする行為にはリスクを伴うので、不動産投資を続けていくのであれば安易にキャンセルするのは危険だと言えます。
このためキャンセルする事態にならない不動産選びを心がけることが大切です。
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