
不動産投資の出口戦略における収益物件の現在価値(NPV法)とは

近年不動産投資が注目を集めています。投資に成功すれば、会社員をしながらでもある程度の収益を得られることは大きな魅力です。
しかし、実際にはさまざまな知識を備えておかないと、思うような収益を上げられないのが実情です。こちらでは収益物件の現在価値(NPV法)について解説します。
収益物件の現在価値(NPV法)とは?

不動産投資における現在価値とは、正味現在価値や純現在価値とも呼ばれ、投資評価における方法の中では最も基本的なものです。
不動産、特に建物は時間の経過に伴ってさまざまな箇所が傷んできます。20年前と現在で、建物が同じ価値のまま残っているという事はないはずです。また、現在10万円を銀行から借りるのと、10年前に借りた10万円とでは金利が異なるため、単純に額面だけでは比較が出来ないでしょう。
そう考えると、20年前に500万円で購入したマンションと、5年前に500万円で購入したマンションとでは、購入金額は同じであっても、現在の建物の価値や購入にかかったコストは異なることになります。
このように不動産評価を行う際には、時間経過によるリスクの変化、金銭的価値の変化というものを考慮して評価を行わないと、投資対象同士での正しい比較を行えないということがあります。
NPV法はこうした問題点を克服するために考え出されたもので、投資対象を現在の価値に戻して比較条件を揃え、その上で投資すべきかどうかを判断する方法です。基本的でありながらも実情に即した手法と言えます。
ちなみに、不動産投資の場面では、出口戦略という言葉もよく聞かれます。出口戦略というのはもともと軍事用語として用いられてきたもので、自軍の損害が最小限のうちに戦線から離脱する作戦のことです。
それが転じて、投資においては今後市場が荒れそうな時に、先回りして投資規模を縮小し、リスクを最小限に抑えるという意味で使われます。不動産投資に限って言うと、決して悪い意味が含まれているわけではなく、単に収益物件を売却することを意味します。
この不動産投資における出口戦略を考える上で、重要なポイントになるのがNPV法なのです。
NPV法で投資評価をするための計算ステップ
ではNPV法の計算方法を見てみましょう。
まずは、投資によって得られるキャッシュフローの額の予測を立てます。ローンの返済額や返済期間などをしっかりと考えて予測を立てることが重要です。ここが疎かだと、現実から離れた計算値が出てしまいます。
次に、予測したキャッシュフローを現在の価値に直します。現在の価値を計算するための方法としてDCF法というものが一般に用いられており、これはリスクに応じた割引率を乗じて、現在価値を計算するものです。
キャッシュフローの現在価値を計算したら、いよいよNPVの値を出します。これは容易で、「キャッシュフローの現在価値」から「初期投資額」を引いて計算します。
NPV法による判断方法

投資価値を判断には簡単に言えば、NPV法によって計算された値がプラスであれば、その投資は行う価値があるとされます。
具体的に、出口戦略にNPV法を用いた判断例を挙げると、例えば現在150万円の土地があるとします。購入して平置きの駐車場にすることにしました。また、その土地は売却する時は200万円で売却できる見通しがあります。
では、何年後に売却すれば一番収益を最大化出来るのでしょうか。この判断時にNPV法が使われます。
この場合、例えば5年後、10年後それぞれの売却金額200万円を、まず現在の価値に直します。そして、そこから現在の土地購入価格150万円に駐車場にするための諸々の工事代金などを加えます。
最後に現在価値に直した売却価格から土地購入などの費用を引いて、NPVを求めます。
計算の結果、5年後まではNPVがプラスでしたが、10年後はマイナスに転じることが判明しました。そのため、5年後には売却しようという判断がなされることになります。
NPV法によるメリット・デメリット
NPV法によるメリット
NPV法はこれまで述べたように分かりやすい概念でありながらも、投資を行うかどうかの判断をするための良い方法です。
計算時にはキャッシュフローや現在価値に直す際の割引率という観念の中に、時間的リスクやリターンの概念を組み込むことが出来るため、実情に即した計算を行うことができるというメリットがあります。
NPV法によるデメリット
一方で、NPV法にはデメリットもあり、NPVの計算自体はキャッシュフローから投資額を引き算するという簡単なものであるため、単純化した計算や判断になってしまう恐れがあります。
計算時にキャッシュフローを現在価値に直すための割引率や、キャッシュフローの予測などは現実に即したもので計算することが大変重要です。
また、具体例として挙げたように「5年後まではNPV値がプラスだけど10年後はマイナスだから5年で売却しよう」といった収益最大化だけを考え、短期的な視点に偏る恐れもあります。実際の投資においてはそれ以外の要素が大きな意味をなす場面もあるかもしれません。
さらに、NPV法の性質として仕方のないものではありますが、NPVの値は投資前には良い判断材料となりますが、いざ投資が始まってしまうと、それは「投資の前に判断された数値」でしかなくなってしまいます。
したがって、現在進行形の投資について目標設定を行うための方法としては不向きです。
NPV法によって不動産投資の出口戦略を考えよう
NPV法は上記に述べたようなデメリットもいくつかある反面、そうした性質を踏まえた上で用いれば、やはり投資判断の場面では効果があり、分かりやすい方法です。キャッシュフローの予測や割引率の設定をいくつにするのかなどは、現実に即してシビアに考えた上で、使う場面を間違えないように、上手に不動産投資の出口戦略を考えましょう。
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