新サービス・新機能を“使ってもらう”ための3つの方法【後編】 〜『背中押し』編〜
前編の記事はこちら
▶︎新サービス・新機能を“使ってもらう”ための3つの方法【前編】 ~『告知・導線』編~
前編では、お客様に新サービス・新機能を「使ってもらう」コツとして、「①告知」と「②導線」についてお話しました。
後編では、最も重要な「③背中押し」について解説します。
③ 背中押し
「新機能をリリースしたことをあらゆる場所で発表し、お客様に共感してもらえる表現を散りばめ、いろんなところに入口も設けた。これで使ってもらえるはずだ!
・・あれ?いまいち使ってもらえてない。なんでだろう・・。
UIもわかりやすくしたし、チュートリアルもヘルプも用意したし、効果もすぐ実感できるよう工夫もしたのに・・」
そうなんです。ここまでやっても、お客様にはまだまだ使ってもらえません。
「告知」と「導線」だけでは弱いのです。最後の一押しが必要なんです。
ここで、ふと冷静に考えてみましょう。
お客様が、私たちやあなたのつくったサービス・機能を使わなければいけない理由は、1ミリもありません。
先日、とあるキャッシュレス支払いサービスで「100億円あげちゃいますキャンペーン」というのがありましたが、あのくらいメリットがあるならユーザーが殺到し使ってくれるのでしょうが、そうでなければ、よほど本人が求めていない限り、普通は忙しい時間を差し出してまで使ってくれないのです。
いくら告知をして、たくさん導線を設けても、「ああ、そういえばお知らせが来てましたね。そのうち使ってみようとは思っているんですけど、今、忙しくて・・」というお客様が多いのが現実です。
さらに、たとえ新機能の画面を見てもらえたとしても、作成者側が求めている地点までたどり着かずに操作をやめてしまうお客様は、平均で約99%とも言われています。
当然ですが、いつだってお客様は本業に専念していますし、新商品を検討するにも、あらゆる企業から、日々、雨あられのように告知が来ています。私たちやあなたが行なった告知は、その中の1つにすぎません。
だからこそ、「背中押し」が重要になります。
「背中押し」とは、様々な理由で、使うまでには至っていないお客様に対し、あらためて利用メリットを伝え、「いかがですか?」と促す行為です。
実は、最終的に使ってもらえるかどうかは、この「背中押し」が最も重要なんです。
背中押しにも、「オンラインの背中押し」と「オフラインの背中押し」があります。
そして、オフラインの背中押しを成功させるには、「メンバー巻き込み」が欠かせません。
それぞれ詳しく解説します。
オンラインの背中押し
「オンラインの背中押し」とは、新サービス・新機能について思い出していただけるよう、オンライン上であらためて「使ってみませんか?」と促すことを指します。
方法としては、自社製品をオンラインで提供している場合、「ログイン時のポップアップ」がおすすめです。
また、オンライン上にはいるけれど自社製品を起動していないお客様に対しては、「プッシュ通知」が効果的です(スマホアプリでは「プッシュ通知」、ブラウザでは「WEBプッシュ」と呼ばれます)。
ときには、クーポンの形で、利用についての何らかのインセンティブを与えることも有効でしょう。
ここで注意しなければいけないのは、「新商品の○○です!」などと商品名を前面に打ち出してしまうことです。
新機能や新サービスの名称を強調されたところで、それを知ってるのは社内の人間だけで、お客様は反応できません。
想定している相手に「これは自分にも当てはまるかも・・!」と思ってもらえる表現になっているかをチェックしましょう。
なお、システムをつくるメンバーのスキルや時間的な余裕があるならば、この分野は「パーソナライズ」が重要です。
(「パーソナライズ」とは、一人一人の属性・購買・行動履歴に基づき最適な情報を提示する仕組みのことです。)
自分に当てはまらないことが、画面を開くたびに毎回表示されるようなポップアップでは、逆に離脱されてしまうからです。
オフラインの背中押し
自社製品をオンラインで提供している場合でも、すべてのお客様が常にその画面を見てくれているとは限りません。
とくに、BtoB(=お客様が法人)の場合、決裁権者と現場担当者が分かれていることが多く、決裁権者は会社全体に関わる仕事をしていて、現場のツールをしばらく使っていないというケースが多々あります。
画面を見ていないお客様に対しては、いくらオンラインの背中押しをしても、のれんに腕押し状態になってしまいます。
そこで、「オフラインの背中押し」を行います。
「オフラインの背中押し」とは、メール、手紙、そして人員に余裕があれば電話やビデオチャットなどで、自社製品の画面を見ていないお客様に対し、「使ってみませんか?」とあらためて促すことです。
とくに、お客様が法人の場合、電話やビデオチャット、ときには訪問による相手との「直接接触」は、アナログな手法ですが、高い効果が見込めることがあります。
ただし、オンラインのアプローチと違い、オフラインのアプローチは継続的に人員が必要です。 人員に余裕がない場合は、より絞った動きをしましょう(「訪問 > ビデオチャット > 電話」の順で時間がかかります)。
また、オフラインでの背中押しを行ってもらうとき、お客様と接触する現場スタッフから、「新商品について少しでも興味を持ったお客様から順にアプローチしたいのですが、そういうのがわかるデータってありますか?」と聞かれることがよくあります。
コンバージョンに至っていないお客様の興味の度合いを測るデータとしては、「資料ダウンロードの有無」「閲覧数・閲覧頻度」「滞在時間・直帰率」「画面遷移ログ」などが挙げられます。
1秒だけ見て使うのをやめてしまったお客様と、何分も閲覧して資料をダウンロードし、申し込み直前の画面まで行ったお客様とでは、興味の度合いが違うと仮定するのです。
開発側としては、このようなデータを、見やすい形で、タイムリーに現場担当者に渡せるような設計にしておくことが重要です。
そして、オフラインの背中押しがきちんと行われるために、最も大事なことがあります。
それは「メンバー巻き込み」です。
メンバー巻き込み
あなたがつくったプロダクトは、同じプロジェクトメンバー同士であればすごく愛着があるでしょう。
日々、四苦八苦して、苦労の末、生み出したモノだからです。
では、他のチームメンバーや、他部署のスタッフにも、「これ、ほんとにいいですよね!自分なら絶対使います!」と思ってもらえているでしょうか?
制作者ではなくとも、自分が心から良いと思ったプロダクトであれば、誰であれ積極的に人に伝えたくなるものです。
逆に、お客様と頻繁に関わる現場スタッフにしっかりと魅力が伝わっていなければ、オフラインでの背中押しをしてもらえず、お客様にも使ってもらえないことがあります。
当社では、各プロジェクトメンバーが、自分たちがつくっているプロダクトの目的や進捗を、毎週全スタッフにお知らせしたり、8割方完成したら、まったく専門知識のない他部署のスタッフにも使ってもらい、「これを触ってみて、どう感じますか?」と、感想をもらうようにしています(=初見の人のユーザビリティチェック)。
そこで出た意見をもとにまた改善し、いよいよリリースするのですが、リリース直前にも、プロジェクトメンバーが、他部署のスタッフ向けに、自分たちのプロダクトの「社内説明会」を行います。
「こんなに素晴らしい機能なんです!」という魅力をあらためてプレゼンし、イチから操作方法をレクチャーするのです。
ここまでやると、次は、他部署のスタッフが自分たちで、「すごく良い機能だね!この商品の魅力をお客様にしっかり伝えるにはどうしたらいいだろう?」と考え、自主的にロープレ会を開きます(=お客様への説明トークを練習する会です)。
制作・開発側は、オフラインにいるお客様にまで余すところなく魅力を伝えるには、日々お客様と接している社内スタッフ(当社でいえば、フィールドセールスやインサイドセールスやカスタマーサクセス)にまでしっかりとプレゼンすることが大事になってくるのです。
もし使ってもらえなかったとしても、そこで培ったノウハウは必ず次に生きる
ここまでやって、ようやく使ってもらえるかもしれないプロダクトになります。
ここで「かもしれない」という言葉がついているのは、これらをすべてやっても、利用率が伸びないモノも当然あるからです。
そもそも、仮に、お客様がまったくいない状態でリリースした新商品がヒットする確率は0.3%とも言われています。
自分たちがつくったプロダクトがすぐに使われなかったからといって、悲観する必要はありません。
市況やタイミングが変われば突然使われ始めるモノもありますし、こちらが想定していない使われ方でじわじわと人気が出るモノもあります。
何よりも、そこで培ったノウハウが、次のプロジェクトや新商品開発で余すところなく活かされるということがほとんどです。
短期で見切ると、何をしても続きません。
点は必ずつながり、線になります。無駄なことは、一つもないのです。
最も気をつけなければいけないことは、自分自身も含めうまくいかないことを責めたり、及び腰になって新しいチャレンジをしなくなることです。
ゼロに何をかけてもゼロ。挑戦する回数を減らしてしまうことこそが最大のリスクなのです。
当社のバリューの一つである、『失敗はない。うまくいかないデータが取れたという成功があるだけ』という行動指針は、まさにこういうスタンスから来ています。
クリエイター志望の方であれば、誰もが「良いモノをつくろう!」と、ものづくりに情熱を傾けると思います。
しかし、プロダクトをつくり終えた地点はゴールではありません。「使ってもらう」スタートです。
あなたがつくった新商品をより多くの人に利用していただくためにも、今回お伝えした「使ってもらうための3つの方法」を、ぜひ実践してみてください。
結論
クリエイターを目指すなら、「使ってもらう」コツも身につけよう!
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