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【不動産投資の確定申告】分離課税のメリットとは?
ファイナンス
2018/06/28 2018/07/23

【不動産投資の確定申告】分離課税のメリットとは?

株式会社ラルズネット 編集部

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【不動産投資の確定申告】分離課税のメリットとは?

将来に備えて不動産投資を行う場合、併せて節税対策を行うことが大切です。不動産関連の税金は何があるかを理解し、税法上の特例をうまく活用することで節税効果につながります。

不動産投資と関連が深い「分離課税」のメリットについて詳しく紹介します。

分離課税の利点とは

【不動産投資の確定申告】分離課税のメリットとは?

収入のうちの儲け分を「所得」と呼び、所得に対してかけられる税金を「所得税」と言います。

所得税額は、全ての所得を合算した総所得額に基づいて税額を計算する「総合課税」方式が一般的ですが、合算せずに税金を算出する方式を例外的に使用するケースがあり、それを「分離課税」と呼びます。

退職金や株式譲渡にかかる所得、山林所得などが分離課税に該当しますが、複数の所得がある場合でも合算する必要はなく、別々に税額を算出することができます。

株式や不動産などの売却においては、購入価格より売却価格が下回り、赤字になってしまうことがありますが、その経営上の処理を「譲渡損失」と呼びます。譲渡損失が生じた場合は、国税庁に申告することで所得税を軽減することができます。

また、給与所得者や事業所得者がマンション経営などの不動産投資によって損失が出た場合に、給与所得や事業所得から不動産所得のマイナス分を控除することができます。

これを損益通算と呼びますが、分離課税を用いることで、株式や土地などの売却によって生じた譲渡損失や損益通算分を計算することができ、確定申告によって納税額の軽減を受けられることがメリットの一つです。

日本の所得税は累進課税制度を採用しており、所得が増えるほど所得税率が上がる計算になっていますが、所得の一部を分離させることで税率の高騰を抑制できるのもメリットとして挙げられます。

源泉分離課税と申告分離課税の違いとは

分離課税は「源泉分離課税」と「申告分離課税」の2つに分類されますが、どちらも「総合課税の対象から切り離して税額を考える」という共通項があります。会社や事業所からの給与や預貯金の利子など、現金を受け取った時点で所得税額が天引きされているものを源泉分離課税と呼びます。

源泉分離課税では既に税金が引かれた後に所得を受けることから、税金の還付を必要とする場合を除き、改めて確定申告をする必要はありません。

申告分離課税は、株式譲渡益や配当益、不動産売却によって得られた譲渡所得などが該当します。

受け取った時点では税金がかかっていないため、一定額以上の利益が出た場合には確定申告を行い、納税者本人が税金を納める必要があります。

申告分離課税の申告方法

土地の譲渡所得がある場合などで申告分離課税を行う場合、所得の種類に関わらず使用できる「確定申告書B方式」に加えて、分離課税用の「申告書第三表」を提出する必要があります。

各税務署で書類を手に入れられるほか、国税庁のウェブサイトなどからもダウンロードすることができ、作成の手引きを参考にしながら必要事項を記入していきます。

給与所得者の場合、年末にかけて会社から源泉徴収票が渡されます。源泉徴収票の中身には、会社から支払われた収入額、給与所得控除額、扶養人数などが記載されており、確定申告書B様式の「第一表」と「第二表」の該当箇所へ転記していきます。個人事業主の場合は、青色申告や白色申告などで算出された金額に基づいて記入します。

申告書第三表には分離課税の対象となるものを記載していきますが、不動産の所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡」、5年を超える場合は「長期譲渡」となります。

分離課税では、各所得に応じて適用する税法上の特例が異なるため、作成の手引きを見ながらひとつひとつ丁寧に書くことが大切です。

不動産投資で必要となる分離課税方式の仕組み

不動産投資ではさまざまな税金対策を考える必要がありますが、主なものとして不動産売却にかかる税金が挙げられます。

不動産売却で利益が出た場合には譲渡所得がかかり、分離課税による申請を行うため計算に間違いがないように正しく理解することが大切です。

譲渡所得は、譲渡収入から取得費と必要経費を差し引いた分が対象です。取得費には、不動産購入時に支払った費用のほか、増築など付加価値を付けるために支払った費用などが含まれます。

不動産移転登記にかかった「登録免許税」などの諸費用なども取得費にあたります。必要経費には、建物の解体費用や土地の測量費用など多岐にわたるため、売却にかかった費用をしっかりと整理しておきます。

不動産の用途によって税法上の特例がある場合は、譲渡所得から特別控除額分を差し引くことができ、最終的な課税譲渡所得額が算出されます。

課税額は、課税譲渡所得額に税率を乗じて求められますが、不動産によって税率は異なります。家賃収入などによって得られた不動産所得と、不動産を売却して得られた譲渡所得は別々に考える必要があるため覚えておきましょう。

不動産売却から確定申告までスムーズに

不動産を売却して利益が出た場合は、3月15日までに確定申告が必要です。不動産売却にかかった譲渡費用をしっかりと把握することで、譲渡所得を正しく算出することができます。売却から確定申告までの一連の流れを理解して、正しく申告しましょう。

この記事を書いた人:株式会社ラルズネット 編集部